ララムリがやってきた その5
2015/11/7(Sat)
滞在5日目。
いよいよUTMFがスタート。
今までは朝5時に起きていたララムリたちもこの日はゆっくりと起きる。
のんびり朝食をとり、準備を進める。
外はあいにくの雨。
雨は悪路を呼び、悪路はワラーチには敵。
しかし彼らから雨への不安や恐れといった様子は感じられない。もちろん内心は別だろうが、
「それは仕方ないことだよね?自分でどうにかできることではないし。」
といった様子でいつも通りの自然体でいる。

自然体、これって滞在全体から感じられたな、そういえば。
それにひきかえ、彼らの分まで準備をするこちらの方があたふた。どうすれば快適にレースに臨んでもらえるかを考えての行動なんだけど、求めるものは人それぞれだし、そういう意味では最低限必要なもの、例えばレギュレーションとか食事とかさえきちんと一通り揃えればそれ以上にできることはほとんどないのかもしれない。
スタートが13時なので宿を出たのは12時半。ウォーミングアップも兼ねて軽くジョグりながら。しかし、誰かが走ると本能的に反応するのかアルヌルフォはすぐに抜かしにかかる。いやいや、あなたこれからレースじゃないですか。

10分強でスタートエリアに到着。
緊張の様子はなし。
多分、これもいつも通りなんだろうな。
しばらくしてスタート待ちの列に加わる彼らを見送り、号砲が鳴るのを待つ。
もちろん、サポートの準備はしているがやはり走るのは選手。サポーターの出来ることは彼らがベストのパフォーマンスを発揮できるように要所で待ち受けること。選手とは違った緊張だ。
13時スタート。
少し肌寒いが走る選手にはちょうど良いくらいだろうか?
最前列から飛び出すシルヴィーノと2列目に並び、それにすぐ続く形でアルヌルフォ。
ここから先はレースのアップデートを頼りに先回りしつつ、到着を待つ。
選手が2名いるのでこちらも2班体制。距離ができればこちらも二手に分かれる算段だ。
前半から飛び出すシルヴィーノ、それに遅れる形でアルヌルフォ。
最初のエイドでも二人の対称的な過ごし方。
シルヴィーノは颯爽とエイドに現れ、必要なものを補給したら、すぐに出て行くのに対し、悠然と現れ、じっくりと何があるのかを確かめ、味わうアルヌルフォ。あまりの余裕ぶりに周りの方が心配したほどだったそうだ。(ここはサポート出来ないのでエイドにいた方からの伝聞)


A1,A2はサポートできないので最初の合流はW1の麓エイド。
ここではシルヴィーノが先に到着。40分くらい遅れて?アルヌルフォ。
選手によってはF1のピットインみたいに過ごすけど、彼の場合はゆったりと現れた。
焦る僕らのことは気にすることなく、急ぐことなく、夕飯でも食べるかのように補給をする。
ポテトやトルティーヤ、ピノーレなど持参したものが中心。
そして、再びゆったりと夜の山に消えていく。
その姿を見送った僕らはA3へ移動。






到着予想時刻を参考にエイドで待機。
麓に比べてかなり狭いので場所取りは大変でした。
予定よりも随分と遅れてシルヴィーノが到着。
それに少し遅れる形でアルヌルフォ。
エイドで合流、会話をする二人。
シルヴィーノは足を痛めた様子。
アルヌルフォも突き上げか元々の故障なのかかなりしんどそう。
しかし、相変わらずよく食べる。長めの休息と足へのマッサージを試みることでどうにか出発。
*プロの施術はダメだけど、僕はそういった資格はないので念のため。
シルヴィーノは残念ながら、ここでリタイヤ。



A4富士山こどもの国。
再び、アルヌルフォを待つ。
長い夜が少しづつ開け、遠くが徐々に明るくなる頃、アルヌルフォが現れた。
さっきよりもかなりしんどそう。かかった時間を考えるとかなり足が痛むようで随分と歩いたのかもしれない。エイドに入って、まずは足をきれいにして、それから両足をほぐしにかかる。かなり痛いようだ。
ワラーチを脱いで時間をかけてほぐす。
ほぐして暖をとる。
ゆっくりと過ごす。
無言の時が流れる。
しばらくすると、自ら足首に巻きつけた計測チップを外し始めるアルヌルフォ。
残りの距離とこれからのことを考えると残念ながら、リタイヤは賢明だったかもしれない。
一緒に歩いてスタッフの元へ。チップを渡し、リタイヤを告げる。
ララムリのUTMFはこれで終わった。
長かったような、振り返ってみればあっという間のレース。
クタクタになったアルヌルフォを乗せて、宿に戻る。
まずはゆっくり休んでもらおう。
お疲れ様。
二人のレースは終わったけれど、彼らの旅とUTMFはまだ続きます。
続く。
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